
EU付加価値税(VAT)の概要
VATとは
「TVA」とは「taxe sur la valeur ajoutée」の略で、フランス語で付加価値税を意味します。日本で は、英語「value-added tax」の略語である「VAT」で呼ぶほうが一般的です。
付加価値税(以下、VAT)はフランスで考案され、1954年に世界に先駆けて導入されまし た。現在では、世界150カ国ほどが採用しています。日本の消費税にあたる間接税ですが、 その仕組みにはいくつか違いがあります。
欧州連合(EU)は、VATを加盟国の共通税制と定めており、すべての加盟国に導入が義務 付けられています。1995年1月以降に加盟した15カ国は、すべて加盟と同時にVAT を導入し ました。
共通のVAT税制を導入したのは、EUが単一市場として機能するためであり、国内および域 内での公正な競争を守るためです。VAT税制を正しく運用するために、EUは共通規則を定 めました。
欧州経済共同体時代の1977年に公布された「第6指令」が1993年に大幅に改正 され、現行のシステムがほぼ整いました。
現在「VAT指令は、2006年11月28日の「理事会指令2006/112/EC」として公布されたもので、その後10回にわたって改定が行われています。

税率
フランスの場合VATは基本20%です。
ただし
- 宿泊、運賃、外食、文化イベント、医薬品(保険適用外)、調理済食品、農業に関するもの-10%
- 芸術鑑賞、食品、水道水、書籍、運賃、住宅工事、ハンディキャップに関するもの-5.5%
- 医薬品(保険適用内)、新聞、雑誌、定期興行(上演140回まで) –2.1%
など細かく分類されます。
消費税は間接税で、消費者から受け取った消費税はそのまま税務署に収めなければなりません。

2021年7月1日からの改正
2021年7月1日以降、EUに輸入されるすべての商品は、金額にかかわらずVATが課せられます。
つまり、6月まではEU国内にいても外国から買った商品はすべて消費税がかかりませんでしたが、7月以降はEUの消費者はすべての買った商品に対して、消費者の所在国の消費 税を払わなければならなくなりました。
150ユーロ未満の貨物は、新たな輸入ワンストップショップ (IOSS) を利用して販売時に請 求するか、または税関申告者(クロノポストや、DHLなどの配送業者)が最終消費者から徴収 するようになりました。
(徴収税金分+1回に付き€20の手数料)
変更点
★22ユーロ以下の輸入VAT免税の廃止
8月号マンスリーレポート
6月末まで€22以下のEU外からの電子商取引貨物については免税でしたが、すべての貨物は価額にかかわらずVATの課税対象となり、購入者の居住国で設定されたVAT税率が適用されます。
★輸入ワンストップショップ (IOSS) の導入
IOSSとはImport Onestop Shopの略であり、日本語では輸入ワンストップ制度と呼ばれま
す。それに従い、150ユーロ以下の電子商取引貨物については、EUは選択制で輸入ワンストップショップ (IOSS) を
導入して、商品の通関を行うことができるようになりました。
これにより、販売者やオンラインマーケットプレイスが販売時点でVATを請求し、当局に直接送金できるようになります。消費者にとってはプロセスがより簡単で透明性の高いものになり、効率的な通関手続きが可能になります。
E-Commerce業者がIOSS登録をしない場合、DHLなどの配送業者が代理で配達前にお客様か らVATを徴収し、当局に支払います。(お客様からはVATと手数料一回に付き€20近くがかかり ます)
仲介業者を通す方法や、独自で登録する方法、などいずれにせよ、IOSSに登録後、税関申 告者(DHLやEMSなどの配送業者)にIOSS番号を提供する必要があります。
EUに輸入された企業対消費者(B2C)売上げのVATは、指定されたEU加盟国にて月次もし くは4半期ごとの納税申告を行い、EU域内の仕向国の税務当局にVAT申告書と支払いが転送されます。
その結果、事業者は販売先のEU各国でVATを登録する必要がなくなります。(6月まではEU外の事業者はVAT登録を各国でしていました)

★ 特定のマーケットプレイスはVATの徴収を担えます
たとえばAmazonやEbayなどのプラットフォームに出品する場合はそのプラットフォームが
VAT徴収などを代理に行ってくれますので、IOSS番号を取る必要はありません。
特定のマーケットプレイスがIOSSの下で登録した場合、販売者に代わって最終消費者から VATを徴収、申告、送金する責任を負います。このスキームは、オンラインマーケットプレ イスによって促進され、EUへの最大150ユーロの貨物の企業対消費者(B2C)の輸入貨物 に適用されます。
複数のマーケットプレイスを利用して商品を販売している事業者は、各マーケットプレイス での販売の明確な証拠を保管しておく必要があります。また、販売した各商品に対応する IOSS番号を税関申告者に提供しなければなりません。実質150€以下の商品を扱う殆どの マーケットプレイスがIOSSナンバーを持っています。
*弊社は欧州Amazon出品の代行のサービスもサポートしています。

IOSS登録のメリット
★一つの国で登録すればEU圏内全てに適応される
IOSSは、EU域内の購入者への輸入品の遠隔販売を可能にする電子インターフェースについ て、VATの徴収、申告、納付を容易にします。EU加盟国とは次の通りです:オーストリア、ベ
ルギー、ブルガリア、クロアチア、キプロス、チェコ共和国、デンマーク、エストニア、フィ ンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、ラトビア、 リトアニア、ルクセンブルグ、マルタ、オランダ、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スロ バキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン。つまりすべてのEU加盟国の顧客に向けられた 商品の通関に有効です。
★すべてのコストは購入時にのみであり買い手にとってクリアであること
商品の配送時に、購入者は予期せぬコストを支払う必要がありません。それはお客さんに とって非常に安心な買い物をすることになります。
⇒つまりお客さんが、商品を買われる時 にその国の税率などを表示しなければならないということです。
(shopifyなどのサイトで対応可能)
★通関業務の効率化
毎回の業者への委託がないので、業務が効率化できます。
【大切なポイント】
今回、EU付加価値税(VAT)についてレポートに簡単にまとめましたが、いかがでしたでしょうか?
越境ECサイトの商品販売時において、お客様からどのようにしてVATの税金を徴収するかという事がポイントになります。
「御社はどちらを選ばれますか?」
*弊社ではフランス支社で、IOSSに登録と納税手続き代行が可能となります。
IOSS登録を検討される場合は是非、お問い合わせください。
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